ウィガンはしょうかくできますか?

「家族のようなクラブ」という哲学を持つ、 イギリスの片田舎にあるクラブであるウィガン・アスレティックのファンが、
公式やらゴシップやらの和訳を気まぐれに書きつづるただそれだけのブログ。たまに、Wigan以外のコラムとかの訳も。
チームの愛称はLATICSです。
WE LOVE LATICS! WE BELIEVE OUR GAFFER AND CHAIRMAN! LET'S GO! さあ!ヨーロッパとチャンピオンシップに乗り込むぞ!

2013年04月

 ミッドウィーク&土曜日という事もあり、ウエストハム戦の方はそこまできっちりと見れた訳ではないということもあって今回はまとめて書かせていただきたいと思います。消化試合が1試合現在少ないとはいえ、現在最大のライバルであるAston Villaとは勝ち点が3放れている状態。どうにか勝ち点を取らないことには、かなり厳しい状況に追い込まれてしまうのは必然です。

  背水の陣(はいすいのじん)とは、好ましくない事態に対する打開策が何もない時、「誰が任に当たっても必ず失敗する状況だ(だから俺が失敗しても許してね)」という言い訳と、「失敗を恐れずに努力した自分をほめてやりたい」という開き直りに使われる言葉である。(アンサイクロペディアより抜粋)

  結論を言えば2試合で、まあ実際こんな状況にまで追い込まれました。 まずはマンチェスター・シティ戦から振り返っていきましょう。なんやかんやで2位につけるにも関わらず、いつものように評価してもらえない不遇なマンチーニさん率いる水色の傭兵部隊との試合でのスタメンはこんな感じ。

 
Manchester City
01 Hart
02 Richards Booked (Sinclair - 83' )
04 Kompany
06 Lescott
13 Kolarov
08 Nasri
14 Garcia (Milner - 59' )
18 Barry
42 Y Toure
16 Aguero (Dzeko - 46' )
32 Tevez Booked

Substitutes
30 Pantilimon
22 Clichy
28 K Toure
07 Milner
11 Sinclair
17 Rodwell
10 Dzeko

Wigan Athletic
01 Robles
03 Alcaraz
17 Boyce
31 Figueroa
04 McCarthy Booked
10 Maloney (Espinoza - 89' )
14 Gomez (McArthur - 85' )
22 Beausejour
33 Scharner
02 Kone
09 Di Santo (McManaman - 68' )

Substitutes
26 Al Habsi
05 Caldwell
23 Stam
16 McArthur
18 Espinoza
11 Henriquez
15 McManaman

 Wiganは契約延長の関係もあって、絶妙に干しながら使っているディサントを久しぶりに起用。4バック継続で、4-4-2的なシステムで臨みます。エルサルバドル(どこかわからない)の代表として活躍する右サイドバック、ボイスさんがキャプテンマークで試合に挑みます。

 シー、ゴメス先生のダブルボランチは非常に状態の良さを感じさせるようなパフォーマンスでシティのボランチを牽制しながらリズムを握って前半はWigan優勢にゲームが流れ始めます。

 ボールを持ちながら攻撃を仕掛けるWiganに対して、シティが狙うのは左サイド。アグエロを左に流しながらチャンスを作るカウンターにコラロフが絡んでくる場面でチャンスを増やします。 

 シティの正確なカウンターに対しては、何度もモチベーション溢れるCFディサントさんが素晴らしい戻りで潰してくれます。 また、「小汚いネスタ」シャルナー兄さんの完璧なタックルで何度もボールだけを絡め取るようにカウンターを防ぎます。そうなってくればチャンスが増えるのはWigan。

 しかし、立ちはだかるのはプレミア最高の守備陣。何度も決定機を作りますがコンパニとレスコットの素早いリカバーに防がれてしまいます。ハイレベルな戦いに風穴を空けたのは、やはりテベスでした。

 守備の要シャルナーを1人で振り回すと完璧なゴラッソ。世界レベルで闘ってきた男の勝負強さを見せつけられてしまいます。最後までやりきったものの、流石は昨年王者。高いクオリティと計算されたゲーム運びで力の差を感じさせてくれました。でも、マンチョが「ウィガンは降格するようなチームじゃない」って言ってくれたのは凄く嬉しかったです。



 そしてウエストハム戦。「びっぐびっぐびっぐびっぐさむ」(ビッグカメラのリズムで)との対戦になります。シティ戦での素晴らしいパフォーマンスを継続させればなんとかなるだろ。くらいに甘く見ていた僕を裏切るような展開が待っていました。

West Ham United
22 Jaaskelainen
02 Reid
17 O'Brien
19 Collins Booked
20 Demel
04 Nolan
07 Jarvis
21 Diame (Collison - 75' )
32 O'Neil (Noble - 52' )
08 Carroll Booked
12 Vaz Te (J Cole - 61' Booked )

Substitutes
13 Henderson
18 Pogatetz
10 Collison
14 Taylor
16 Noble
26 J Cole
09 C Cole

Wigan Athletic
01 Robles
03 Alcaraz (Beausejour - 15' )
05 Caldwell Booked
17 Boyce
31 Figueroa
04 McCarthy
10 Maloney
14 Gomez (Di Santo - 86' )
33 Scharner
02 Kone
15 McManaman (McArthur - 46' )
 
Substitutes
26 Al Habsi
23 Stam
16 McArthur
18 Espinoza
22 Beausejour
09 Di Santo
11 Henriquez

 キャロルへの警戒と、前回3バックでウエストハムに大勝したこともあったのでしょう。Wiganは最近成功していた4バックではなく、ボーセジュールを(多分今季初)で外して守備的な両WGと3バックを採用。これが、どうも上手くいかずにボールが走らない展開になってしまいます。プレスに捕まりペースを奪われると、試合序盤で守備の要であるパラグアイ代表DFアルカラさんが怪我。

 一気にチームが混乱すると、失点。流れを取り戻せないままに前半終了してしまいます。後半、なんとかしたいウィガンはチームの攻撃を牽引する俺たちのマロニーちゃんが突破を仕掛けまくります。ゴール前にしっかりと城を築いて守ってくるウエスト・ハムに対して、CBのコールドウェルまで動員して崩しにかかりますがヤースケライネンさんの堅守もあって崩し切れず。一気にカウンターを浴びると2点目を刺されてゲームセット。

 厳しい展開になってきました。アルカラさんがいないとウィガンの勝率がめちゃくちゃ下がるという不吉なデータもありますし。。。残り試合としては、Swnsea、Tottnam、Arsenal、WBA、Aston Villaという5試合。このうち3、ないし4勝しないと厳しいという無理ゲーです。

 僕の予感が正しければ、最終戦となるAston Villaとの直接対決で「降格デスマッチ」が行われるのではないかという嫌な感じがしています。なんとか、1つでも多く勝ってもらわないと(涙目)

シャア・アズナブル


 タイトルは有名なシャアさんのセリフをパロらせていただきました。さあ、中立地ウェンブリーのチケットがミルウ
ォールより売れなかったりして悲しいことに話題になってしまったWiganは、なんか色々上手くいってFAカップのセミファイナルへと進出します。正直プレミアのチームとはエバートン以外当たらずに、ここまで来るってのはなかなか珍しいことのような気も。それだけ下部リーグが頑張っていた側面が強いのかもですが。

 ミルウォールといえば、ファンが怖いところだと聞いていたくらいしか予備知識が無く「まあ何とかなるだろ」くらいの雑な認識でいました正直。で、ヨーロッパのことなんですけど相手にすることになったChelseaが6位より上に入れば、もし負けても夢のヨーロッパカップが転がり込むという・・・

 そんなことより残留しないと、色々おかしなことになるんですがね!!!!!!!!!!スタメンはこれ。

Millwall
01 Forde
02 Dunne
03 Shittu
12 Lowry Booked
16 Beevers
21 Smith (Hulse - 67' )
39 St Ledger Booked
14 Henry
19 C Taylor
26 Abdou (Trotter - 72' )
20 Keogh (Batt - 89' )

Substitutes
33 M Taylor
25 Smith
27 Osborne
06 Trotter
07 Hulse
10 Tyson
11 Batt

Wigan Athletic
26 Al Habsi
03 Alcaraz
17 Boyce
31 Figueroa
04 McCarthy
10 Maloney
14 Gomez
22 Beausejour (McArthur - 60' )
33 Scharner
02 Kone
15 McManaman (Henriquez - 89' )

Substitutes
01 Blazquez
05 Caldwell
23 Stam
16 McArthur
18 Espinoza
09 Di Santo
11 Henriquez

 Wiganは基本最近使っているメンバーですが、キーパーが交代。久々にアリ・ハブシがゴールマウスを守ることになります。ミルウォールで有名なのはナイジェリア代表CBシットゥさん。

 試合が始まるとペースを握ったのはWigan。流石にボールを持てることから、しっかりとボールを保持すると崩しにかかります。特にボランチのエリアでプレッシャーがそこまで激しくなかったのでイケメン・ゴメス先生がいいプレーを見せ、ボールが縦に繋がる場面が増えてきます。

 カップ戦では、相当自信を持っているマクマナマン君がキレキレの突破で右サイドを切り崩していくとコネさんの謎ピンポイント浮き球に抜け出しながらマロニーちゃんがしっかりと先制。最も信頼出来る男がカップ戦でも素晴らしい仕事をしてくれます。

 ある程度安定した守備を見せながら、コネを起点にミドルなどで攻め立てますがミルウォールもGKが何度もいいセービング。追加点を許しません。

 後半に入っても、流れは変わらず。ウィガンは経験を生かしてしっかりとボールを保持して無理せずにチャンスをうかがいます。しかし、ミルウォールもこのまま終わる訳にはいきません。激しい中盤でのコンタクトを増やしてボールを奪うと、縦に速いイングランドらしいフットボールで得点を狙ってきます。更にサイドからの攻撃によって、何度も危険な場面を作り出してきます。

 しかし、流れが相手に行きそうな時間帯でイケメンのスルーパスに抜け出した右サイドのアタッカーであるマクマナマン君がGET。2点差をつけて安全圏かと思われました。

 それでも、何だか安心できないのがWigan。何故か何度も左サイドを突破され、危ない場面も増えてきますがどうにか耐えて試合終了。FAカップの決勝に駒を進めました。
  
 「ざんりゅうできますか?」が不安な状態でFAカップまで増えるのは、正直いいことなのか悪いことなのか。。。わかりません。モチベーションとかにとってはいいでしょうし、上手く使えば実験にもつかえる部分はあるのでしょう。ただ、スタメンをある程度固めて闘っていくであろう終盤戦に疲労がたまってしまう危惧もあります。

 まあ、でも嬉しそうなWiganメンバーを見れましたし…とりあえず満足することにしましょうか(笑) 相変わらずみんないい表情してますねー。さあ、しっかり残留して来季は「ヨーロッパ」だ!!!


 
Wigan FA vs Milwall①

 ①の続きになります。未読の方は是非①から!








「ある朝」

353 : [sage352イイ!!泣ける] : 投稿日:2003/07/14 23:51:00 ID:7GqqHW7s [1/1回]
「ところでお前、ソシエダに選手を放出するなって忠告したんだって?」 
「あたり前でしょう」 
「そうだな、まぁ」 
「あのチーム良いチームですよ」と僕は味噌汁を飲みながら言った。 
「知ってるよ」とドゥヌエさんはため息をついて言った。 

「俺にはいささか良いチームすぎる」 



「客商売」

449 :  [sage] : 投稿日:2003/09/08 18:59:00 ID:5XdUfUMl [1/1回]
「インテルはどうです?勝ちます?」 
「インテルは勝つような気がするな」 
「気がするじゃなくて、イエスかノーで答えてくれませんか?」 
「イエス」と仕方なく僕は言った。「勝利を信じるよ」 
「インテルの勝利を信じるんですね?」 
「イエス」 
「しかし、ミランの勝利は信じない」 
「信じない」 
「それではインテルとミランの違いとはいったいなんですか?」 
「インテルというのは財政難に対するアンチテーゼだ」 
と僕は口からでまかせを言った。そういうのはとても得意なのだ。 
「ふうん」 
「しかしミランというのは、財政を軸にした価値転換だ」 
「つまりアンチテーゼは認めるが、価値転換は認めない、と」 
「ややこしいものを認めると、もうキリがないからさ」
「お客さん、インテリですね」 
「ははは、インテリスタを7年もやってるから」 



「謎」

505 : 「ロベカルの事情」[sage] : 投稿日:2003/09/30 07:54:00 ID:Lu1sHciZ [1/6回]
 ロベカルのFKは極めて強烈な速度でゴールに向い、ネットを揺らした。 おそらくシュートはゴールの方向へ向けて蹴られたものだろうと私は思う。 しかし、正確なところはわからない。 

あまりにも速いせいで、ボールは一瞬視界から消えたのだ、ポンッと。 
あるいは30メートル戻ってから65メートル進んだのかもしれないし、 
あるいは我々の馴染み無い概念、つまり瞬間移動したのかもしれない。 
 
ただ前後の状況を考えてみて、シュートは強烈な速度でゴールに 
向かったと便宜的に決めただけの話である。 

 ただの推測だ。 
根拠というほどのものはひとかけらもない。 

 障害物に当る心配のない高さ、例えば9000メートルまで上昇し、 その高度で地球を一周してゴールに飛び込んだのかもしれない。 
それはわからない。 
 


「進化」

550 : [sage] : 投稿日:2003/10/23 14:50:00 ID:+YhT5Lt5 [1/2回]
「あなたに訊ねようと思っていたことがあるの。いいかしら?」 
「どうぞ。」 
「何故選手生命をかけて戦うの?」 

「サッカーを進化させたいからさ。個体は進化の 
 エネルギーに耐えることができないから世代交代するんだ。 
 もちろん、これは一つの仮説にすぎないけどね。 
 その中で、僕はまだ進化の渦中にいたいんだよ。 
 膝がどんなに痛んでも、僕が世代交代要員になるのまだごめんだよ。」 

「そういうあなたを、みんな望んでいるのね?」 
「みんなが望んでいるからじゃないよ、僕のただの自己満足さ。 
 つぶれるまで、もう動けるまで、ただ自分を満足させるためにね。」 

「ふーん。今でもサッカーは進化してるのかしら?」 
「少しずつね。」 
「何故進化するの?」 
「それにもいろんな意見がある。 
 ただ確実なことは宇宙全体が進化してるってことなんだ。 
 そこになんらかの方向性や意思が介在してるかどうかってことは別にしても 
 宇宙は進化してるし、結局のところ僕たちはその一部に過ぎないんだ。 
 だからその一部であるサッカーも好むと好まざるに関わらず進化するんだよ」 

僕はウィスキー・グラスを置いて煙草に火をつけた。 

「そのエネルギーがどこから来ているかは誰にもわからない。」 
「そう?」 
「そう」「僕が死んで100年も経てば、誰も僕の存在なんか覚えてはいないだろうね」 
「そうかしら。あなたがロベルトバッジョである限り、そうでもないわよ」 


「理系とレストラン」

564 : [sage] : 投稿日:2003/10/24 15:48:00 ID:JynXoTpw [1/2回]
「ねえ、クライフは言わば科学的直観力を持っていたのよ。」 
「科学的直観力?」 
「そうよ」 
どうしてあのクライフが科学的な特性を持っているというのだ? 
「もう少し少し詳しく言ってもらえるかな?」 

「・・・つまりね、通常の科学者はこんな風に考えるのよ。 
 AイコールB、BイコールC、故にAイコールC、Q.E.D、そうでしょ?」 
僕は肯いた。 

「でもクライフは違うの。彼の頭にあるのはAイコールC、それだけなのよ。 
 証明なんてなにもないのね。でも彼の理論、トータルフットボールが 
 素晴らしかったことは歴史が証明したわ。他にも貴重な発見をしたわ」 

「質量保存の発見」 
「ねえ、それはバレージでしょ?よく大学に入れたわね。」 
彼女はワイン・グラスをテーブルの上に置き、あきれた顔で僕を見た。 

「・・・神の手、かな?」 
「当たり」 

僕はいささか戸惑った。しかし彼女が"神の手"というならそれは神の手なのだ。 
決して、クライフターンであってはならないのだ。 



「お国柄」

 608 : 笠原メイ[sage] : 投稿日:2003/11/06 19:20:00 ID:tc0Zz1fP [1/1回]
「私はまだ子供だし、戦術がどういうものかなんて知らない 

 だからロナウドがどういう気持ちで他のチームに移籍して、あなたを捨ててインテルを出て行ったかなんてもちろんわからない。 
でも今の話を聞いた限りではね、あなたはそもそもの最初からちょっと間違った考え方をしていたような気がするの。 

 ねぇ、クーペルさん、あなたが今言ったようなことは誰にもできないんじゃないかな。 
『さあこれから戦術を浸透させよう』とか『さあこれから攻撃パターンを確立させよう』とかいうようなことはね。 

 私はそう思うな。机上ではうまくやれた、別のチームになれたと思っていても、 
そのうわべの下にはもとのインテルがちゃんとあるし、何かあればそれが『こんにちは』って顔を出すのよ。 
あなたにはそれがわかっていないんじゃない。インテルは「イタリア」で生まれたチームなのよ。 
そしてチームに浸透させようとするあなたの「戦術」だって、それもやはり「ヴァレンシア」で作られたものなの。 

 ねえ、そんなことはモラッティにだってわかるのよ。どうして監督のあなたにそれがわからないのかしら? 
それがわからないというのなら、たしかに大きな問題だと思うな。 

 だからきっとあなたは今、そのことで仕返しされてるのよ。いろんなものから。 
たとえばあなたが放出しちゃったセードルフやピルロから、たとえばあなたが捨てちゃおうと思ったインテルの選手自身から」 




「フォークロア」


 700 :  [sage] : 投稿日:2004/01/07 04:12:00 ID:mz0p+MvS [3/3回]
これは実話であり、それと同時に寓話である。 
そしてまた、我らが1990年代のフォークロア(民間継承)でもある。 

僕は1969年に生まれた。1990ー91シーズンに得点王になり、1995年にアーセナルに入った。 
そして、ノストラダムスのどたばた騒ぎの中で30歳を向かえた。 
だから僕は文字どおり90年代の選手たち(ナインティーズプヤイヤーズ)であった。 
人生でいちばん油が乗っていて、いちばん頑健で、それ故にいちばん重要な時期に、 
1990年代ののっぺりしていて焦燥感に満ちた空気を吸い込んで、 
宿命的にアレに嫌悪感を憶えてしまったのだ。 
音速のコンコルドから、高原のためのくらだらないエコノミー症候群、 
年増のキャビンアテンダントをふんだんにちりばめたファーストクラスまで、 
チーム専用のチャーター機もばっちりそろっていた。 

1990年代という時代には、なにか僕にアレへの嫌悪感を植えつけるものがあった。 
いかにベンゲルたちが「車に乗るより安全」と広く謳っていたとしてもだ。 
今、自分の自己分析のためにこうして思い出してもそう思うし、 
その時だってそう思っていた。アレには、何か危険なものがあると。 

------------------------- 
 ベルカンプのフォークロア----飛行機嫌悪史 



「いばしょ」

 796 : 笠原メイ[sage] : 投稿日:2004/04/22 00:46:00 ID:Q/ljZnCJ [1/2回]
この前は私がはるか遠くの、海沿いのサッカーチームで、 
たくさんの地元の選手たちといっしょにプレーすることになったというところまで話しましたね。 
今回はその続き。 

ところで私は最近になってフツフツと思うのだけれど、 
大人が毎日朝から晩までサッカーするというのはちょっと変なものですね。そう思ったことない? 
どう言えばいいのかな、私がここでやっている仕事なんて、 
ここをこうやりなさいと監督のひとに言われたことを言われたとおりにやっているだけです。 
戦術はなんにも考える必要がないわけ。脳みそなんてキックオフ前にロッカールームに置いてきて、 
帰りにまたひょいと持ってかえればいいくらいのものです。 

一日に七時間くらい練習場に向かってせっせと指示された練習をこなして、 
そのあとは食堂でごはんを食べて、お風呂に入って、それからもちろん人並みに眠らなきゃいけないし、 
一日二十四時間のうち自分の自由になる時間はほんのちょびっとしかありません。 
その「自由な時間」だってけっこう疲れてるから、寝転んでただボオっとしてることが多いし、 
落ちついてものを考えることってないも同然なのね。 

もちろん週末は練習からは開放されるけど、それだってウォームアップやらストレッチやらをやったり、 
ときどきベンチに座ってたりしているとあっというまに終わってしまう。 
いちど決心して言葉を覚えようとしたんだけれど、 
話すことがまるでなくてけっきょくピッチ上での会話だけでやめちゃいました。 
だってくる日もくる日も選手はサラリーのことについて話しているだけなんだものね。 

でもそれにもかかわらず、それにもかかわらずです、自分がこんな風に歯車の一部になってることにたいして、 
私は「ぜんぜん」悪い気持ちを持っていません。イワ感みたいなものもべつに感じない。 
というよりむしろ、私はそうやってアリさん的にわきめもふらず働くことによって、 
だんだん「EURO」に近づいているような気さえしちゃうのです。 
なんていうのかな、うまく説明できないけれど、 
復帰について考えないことでぎゃくに欧州の舞台に近づいていくというみたいなところがあるのね。 
私が「ちょっと変」だというのはそういうことです。 

私はここで一生ケンメイに働いています。じまんするわけじゃないけれど、 
欧州CL最多スコアラーとして貢献しているくらいです。言ったでしょう、 
見かけによらずゴールへの嗅覚は優れているんだって。 
私たちは守備をベースにサッカーをするんだけど、私がでた試合は成績がわりによくなるの。 
私はセットプレイになるとヘディングでゴールを決めたりするから。 
それで私はみんなのあいだでもけっこう評判がいいのよ。そういうのって信じられないと思わない? 
この私の評判がいいなんてね。まあそれはいいや。私がバルダーノさんに言いたいのは、 
私はこのチームに来てからアリさんのように、村のカジヤのように、 
こつこつと働きましたっていうことです。そこまではだいたいわかった? 



「誘い」

816 : 名無しさん[sage] : 投稿日:2004/05/24 20:08:00 ID:X16qfuBw [1/2回]
「来シーズンの給料もちゃんともらってる。だから二人でたっぷり楽しもうよ。スペインはすごくいいよ」 
サムエルは脚を上げてナイキのスパイク・シューズを脱ぎ、ピッチにころんとセクシーに転がした。 
「ねえ、わるいけどそれは出来ない」と僕は言った。 
「どうしてよ、あなたベルカンプなの?」 
「いや、そうじゃない。そうじゃなくて、その金を払った紳士と僕の間に考え方の違いがあるんだ。 
だから君と移籍するわけにはいかない。筋の問題なんだ」 

「でもお金はもう払ってあるし、払い戻しはきかないよ。それにあなたが私とプレーしようがしまいが、 
そんなことローマには関係ないよ。私が国際電話でセンシ会長に報告するわけじゃないもの。 
『イエッサー、ちゃんと未払いの給料を受け取りました』なんてね。 
だからさ、行っても行かなくても同じことなんだよ、それ。ローマに居場所はないのだよ」 

僕はため息をついた。そしてジン・トニックを飲んだ。 
「やろうよ」とサムエルは単純に言った。 
「気持ちいいよ、銀河系」 

僕にはよくわからなかった。 



「ある死」

 850 : 名無しさん[sage] : 投稿日:2004/07/07 07:07:00 ID:qCU3ntBs [1/2回]

「それで、もうひとつの質問というのはうちの選手たちのことだろう?」 
「そうだよ」 
フェリペは長いあいだ黙っていた。手がこすりあわされ、それからため息が聞えた。 
 
「彼らのことについてはできれば話したくなかったんだ。レーハーゲルは計算外のファクターだったからね」 
「計算外?」 
「うん。ポルトガルとしてはこれは強国だけのダンスパーティーのつもりだったんだ。そこにギリシャが入り込んできた。 
レアルはベッカムを取るべきじゃなかったんだ。 君も知っているようにフィーゴは素晴しい能力を持っている。
いろんなものを引き寄せる能力さ。 
でも全ての試合には出すべきじゃなかった。この時期の試合は彼らの体力を遥かに超えたものなんだ」 
「ルイ・コスタはどうだったんだ?」 
 
「ルイ・コスタは大丈夫だよ。元気だよ。」とフェリペは言った。 
「ただルイ・コスタはもう君をひきつけることはないだろうね。可哀そうだとは思うけれどね」 
「何故?」 
「消えたんだよ。ルイ・コスタの中で何かが消えてしまったんだ」 
僕は黙り込んだ。 
「君の気持はわかるよ」とフェリペは続けた。 
 
「でもそれは遅かれ早かれいつかは消えるはずのものだったんだ。 

プラティニやジーコや、それからいろんな選手たちの中で何かが消えていったようにね」 
僕は肯いた。 



「ある生」

 858 : 名無しさん[sage] : 投稿日:2004/07/11 21:27:00 ID:PpYM4ubJ [1/1回]
少なくとも僕は生き残った。良いフットボールが死んだ強豪国だけだとしても、 
ギリシャはやはり生き延びねばならなかった。 
何のために? 
フットボールの世界に警告を鳴らすために? 
まさか。 



「生き様」

 864 : かえるくん[] : 投稿日:2004/07/16 16:13:00 ID:MDhkf/50 [1/1回]
「ダーヴィッツさん」と新監督はじっとダーヴィッツのゴーグルをのぞきこんで 
言った。 
 
「ぼくはつねづねあなたという人間に敬服してきました。 
この数年のあいだあなたは人がやりたがらない地味で危険な仕事を引き受け、 
黙々とこなしてきました。それがどれくらい大変なことだったか、ぼくはよく 
知っています。残念ながらミランやユーヴェが、あなたのそんな仕事ぶりを 
正当に評価してきたとは思えません。コスタクルタにはきっと目がついていない 
のでしょう。しかし嫌われても、無視されても、あなたは愚痴ひとつ言うでもない。 

イタリアのことだけではありません。リーガに移ったあと、あなたはまだフィット 
していなかったロナウジーニョとサビオラを男手ひとつでバックアップし、 
相手を潰し、最終ラインのケアまでした。 
そのために自分の時間と体力を大幅に犠牲にしなくてはならなかったし、 
あなた自身は昇給することもできなかった。なのにラポルタとライカールトは、 
あなたの世話になったことなんてちっとも感謝していません。ひとっきれも感謝して 
いません。というか逆に、オランダ人選手を軽んじて、放出ばかりしています。 
ぼくに言わせればとんでもないことです。あなたのかわりにぶん殴ってやりたい 
くらいです。でもあなたは別に腹を立てるでもない。 

正直に申し上げまして、あなたはあまり風采があがりません。女性に人気がない。 
だからまわりから軽く見られてしまうところもあります。でもぼくにはよくわかります。 
あなたは筋道のとおった、勇気のある方です。欧州広しといえども、ともに闘う相手と 
して、あなたくらい信用できる人はいません」 

「マンチーニ監督」とダーヴィッツは言った。 



「ガラスのダイアモンド」


883 : 名無しさん[sage] : 投稿日:2004/08/18 19:19:00 ID:MjYRsJD/ [1/2回]
 ロベルト・バッジョは肉体的に複雑なトラブルを抱えた人だったし、 
そのサッカー人生は決して平坦で幸せなものとは呼べなかった。 
ガラスのようなもろい膝を抱え、監督の無理解と行き違いに魂を蝕まれ、 
デビューしてから引退するまでのほとんどの時期を通して、安定した 
平穏なキャリアとは無縁だった。多くのクラブで、過酷なスケジュールによって故障し、 
起用法に愛想をつかせて去っていった。 
 
 しかし、生身のロベルト・バッジョがたとえどのような厳しい極北に生を送っていたにせよ、 
彼のボールタッチが、その天使の羽のごとき魔術的な優しさを失ったことは、 
一度としてなかった。彼がひとたびピッチに立ち、ボールにタッチすると、 
そこにはまったくの異次元の世界が生まれた。ちょうど不幸なマイダス王の手が、 
それに触れるすべての事物を輝く黄金に変えていったのと同じように。 

 そう、バッジョのサッカーの中心にあるのは、輝かしい黄金のファンタジアだった。 
どのような熱いドリブルをハイスピードで繰り広げているときも、そこにはナチュラルにして 
潤沢なアイディアがあった。彼はサッカーボールをあたかも神意を授かった手足のように 
自在に操って、鮮やかな至福に満ちたゴールを生んだ。サッカーの歴史の中には星の数ほどの 
ファンタジスタがいる。でもロベルト・バッジョほど激しくゴールを挙げ続け、しかも 
安易なマンネリズムに堕することのなかった人はいなかった。 

 僕はこれまでいろんなレジスタに夢中になり、いろんなファンタジスタにのめりこんだ。 
 
でも僕にとっては最終的にはホセプ・グァルディオラこそがレジスタ(No.4)であり、 
ロベルト・バッジョこそがファンタジスタ(No.10)であった。

 あらためて考えてみれば、この二人の間にはいくつかの重要な共通点が見いだせるかもしれない。彼ら二人の作り出したプレイに、 いくつかの欠点を見いだすことはもちろん可能である。

僕はその事実を進んで認める。 
しかしそのような瑕疵の代償を払わずして、彼らの美しさの永遠の刻印が得られることは、おそらくなかっただろう。 
だからこそ僕は、彼らの美しさと同時に、彼らの瑕疵をも留保なく深く愛するのだ。 
 
 
 。邪魔になりかねないので悩みましたが…どれがお気に入り、っていうのがわかりやすくなればいいなと思い、センスのないタイトルもつけてみました。良かったら皆さんのお気に入りを、僕に教えてください。書いていて非常に楽しく「見せ方」でも遊びを施してみました。長いことお付き合いいただいた方には、最大の感謝を。

 全くWiganには関係ないんですが、個人的なメモ+文章の勉強+紹介の意味を込めてちょっと大好きな「村上春樹風海外サッカー」という2chのスレから秀逸な書き込みを抜粋してみました。まあ、以前にもいろんなところでまとめられてるんですが、どうもまとめの選び方が個人的にはあんまり好きでは無くて…。

 「村上春樹」という作家については非常に難しいです。しかし、「物書き」に足をつっこみたいくらいまで没頭した時期もある人間として個人的な意見を言わせてもらえば「才能を躊躇なく捨てる儚さ」がある作家さんだと思っています。

 ストーリーとしては決して面白いものではなく、読み終わった後に残る後味もなんだか「ざらっ」としている。表現も場合によっては鼻につく。それでも、独特の描写力や表現力で「息をのませる」ことが出来る作家さんだと思っています。立ち止まり、味わう。そんな文章の欠片を生み出すだけでも、羨ましくてしょうがない才能です。凡人である僕には多分手に入らないものです。だからこそ、焦がれるのでしょう。

 前置きは長くなりましたが、是非お楽しみください。音楽には明るくないんですが、結構長いですし、適度に村上春樹作品関連のバックミュージックになりそうな音楽も貼っときます。良かったらこれでも聞きながらどうぞ。。。








「野生」

1 : 国境の南、太陽の西[] : 投稿日:2006/03/17 21:25:08 ID:41HT4Bro0 [1/1回(PC)]
「最近のストライカーはみんな戦術に忠実になったんだ」 
と僕はアブラモビッチさんに説明した。 
「僕が学生の頃はこんなじゃなかった。ストライカーといえばみんな守備の時は立ってるだけで 
半分ぐらいは性格破綻者だった。でもときどきひっくりかえるくらい凄いゴールが見れた。 
僕はいつもリスボンのジョゼ・アルバラーデに通ってサッカーを見ていた。 
そのひっくりかえるような経験を求めてだよ」 
「そういう人たちが好きなのね、ジョゼくんは」 
「たぶんね」 
と僕は言った。 
 
「まずまずの素晴らしいプレーを求めてサッカーにのめり込む人間はいない。 
九の外れがあっても一の至高体験を求めて人間はスタジアムに向かって行くんだ。 
そしてそれがサッカー界を動かしていくんだ。それがスポーツというものじゃないかと僕は思う」 

僕は膝の上にある自分の両手をまたじっと眺めた。それから顔を上げてアブラモビッチさんを見た。 
彼は僕の話の続きを待っていた。 

「でも今は少し違う。今では僕は監督だからね。僕がやってるのは選手を補強してもらって優勝することだよ。 
僕はクライフでもないし、何かを創り出してるわけでもない。そして僕はここでべつにストライカーを 
支援しているわけではないんだ。好むと好まざるとにかかわらず、この場所ではそういうものは求められていないんだ。 

指揮する側にとっては戦術に忠実で頭のいい連中のほうが扱いやすい。それもそれでまた仕方ないだろう。 
フィールドじゅうがロマーリオで満ちていなくてはならないというわけじゃないんだ」 



「白黒」

8 :  [] : 投稿日:2006/03/19 16:31:30 ID:CJFOjdD+0 [1/1回(PC)]
僕が初めてセント・ジェームズ・パークを訪れた時、
ブランブルは5月のやわらかな日ざしの下に 
足を投げ出してボールを自らのゴールに流しこんでいる最中だった。 
「このオウンゴールの優れた点は、」と彼はギブンに言った。 
「得点と失点が一体化していることだ。」 
芝の生い繁った広いフィールドには様々な色と形の選手が集まり、 
芝生に転がる白いボールを懸命に追いかけていた。 



「虚空」

 26 : 、[sage] : 投稿日:2006/03/25 22:53:29 ID:niIpjBLAO [1/1回(携帯)]
ルート「迷ってるんだ」 
バステンは何度か肯いた。
ルート「決めかねている」 
  「そんな気がしてたよ」バステンはそう言うと、しゃべり疲れたように微笑んだ。 
   ルートはゆっくり立ち上がり、煙草とライターをポケットにつっこんだ。時計は既に一時をまわっていた。 
  「おやすみ」とルートは言った。 
  「おやすみ」とバステンが言った。
「ねえ、ファギーが言ったよ。ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね」 
   ルートはバステンに向かって微笑み、ドアを開け、階段を上る。
街灯が人影のない通りを明るく照らし出している。ルートはガードレールに腰を下ろし、空を見上げる。
そして、いったいどれだけの水を飲めば足りるのか、と思う。 

「後悔」

 32 : 1973年のピンボール[sage] : 投稿日:2006/04/03 06:39:55 ID:2tMjnCvR0 [1/2回(PC)]
 エルゲラは目の前のテレビをぼんやりと眺める。 
 ブラウン管にはレアル・マドリードの試合がライブで映っている。 

 移籍の潮時かもしれない、とエルゲラは思う。このクラブで初めて試合に出たのは二十四の歳だ。 
 何百のハイレベルな試合、何十本の貴重なゴール、ベルナベウに訪れた何百万人の観客。 
 何もかもが、まるではしけに打ち寄せる波のようにやって来ては去っていった。 
 俺はもう既に十分なだけの試合に出たじゃないか。 
 もちろん三十五になろうが四十になろうが他のクラブでなら幾らだって試合に出れるかもしれない。 
 でも、と彼は思う、ここでの試合だけは別なんだ。 
 ……三十一歳、移籍するには若くない歳だ。 
 気の利いた人間ならスタメンで試合に出て腕にキャプテンマークでも巻いている歳だ。 

 エルゲラはテレビのスイッチを切り、グラスに注いだミネラルウォーターを一息で半分ばかり飲む。 
 そして反射的に手の甲で口を拭う。 
 そして湿った手をジーンズの尻で拭った。 

 さあ考えろ、とエルゲラは自らに言いきかせる。 
 逃げてないで考えろよ、三十一歳……。少しは考えてもいい歳だ。 
 十五歳のカンテラ選手が二人寄った歳だぜ、お前にそれだけの値打ちがあるかい? 
 ないね、一人分だってない。チームメイトのフランス人の頭部に散りばめられた髪の毛ほどの値打もない。 
 ……よせよ、他人のこと言えたもんかよ、くだらないメタフォルはもう沢山だ。何の役にも立たない。 
 考えろ、お前は何処かで間違ったんだ。思い出せよ。……わかるもんか。 



「FW、語る」

 85 : ハロルド[] : 投稿日:2006/05/04 15:19:28 ID:BtJd469h0 [1/3回(PC)]
フィリポ・インザーギが良いゴールについてこんな風に言っている。 
「ゴールを決めるという動作は、自分と自分をとりまくサッカーの女神の距離を確認することである。
必要なのは小手先の技術ではなく、感性だ。」 
(「ゴールをきめて何が悪い?」 2011年) 

僕が感性を片手にゴールを決め始めたのは
確かロベルト・バッジョが引退した年で、それからもう15年にもなる。
15年かけて僕は実にいろいろな物を放り出してきた。
まるで経営の破綻したフィオレンティーナが負債を減らすためにバティストゥータを放出し、トルドを放出し、 
そして最後にはルイコスタを放り出したように、
15年の間僕はありとあらゆる物を放り出し、その代わりにほとんど何も身につけなかった。 

それが果たして正しかったかのかどうか、僕には確信が持てない。 
楽になったことは確かだとしても、年をとって引退の時を迎えた時に、 
一体僕に何が残っているのだろうと考えるとひどく怖い。 

86 : ハロルド[] : 投稿日:2006/05/04 15:20:29 ID:BtJd469h0 [2/3回(PC)]
もう一度ゴールについて書く。これで最後だ。 

僕にとってゴールを決めるのはひどく苦痛な作業である。 
10試合かけて1ゴールも決められないこともあれば、 
一試合で3度ゴールネットを揺らした挙句 
それがみんなオフサイドといったこともある。 

それにもかかわらず、ゴールを決めるのは楽しい作業でもある。 
生きることの困難さに比べ、それに意味をつけるのはあまりにも簡単だからだ。 

十代の頃だろうか、僕はその事実に気がついて1週間ばかり口もきけないほど 
驚いたことがある。少し気の利いたゴールを決めさえすれば世界は僕の 
意のままになり、あらゆる評価は転換し、時は流れを変える・・・そんな気がした。 

それが落とし穴だと気がついたのは、不幸なことにずっと後だった。 



「感情」

161 : ねずみ[] : 投稿日:2006/08/08 01:10:13 ID:ZyG+ktt90 [1/1回(PC)]
フィーゴがバルサを去ったのにはもちろん幾つかの理由があった。その幾つかの理由が複雑に絡み合ったままある温度に達した時、音を立ててヒューズが飛んだ。 
そしてあるものは残り、あるものははじき飛ばされ、あるものは死んだ。 
バルサをやめた理由は誰にも説明しなかった。きちんと説明するには五時間はかかるだろう。 
それに、もし誰か一人に説明すれば他のみんなも聞きたがるかもしれない。 
そのうちに世界中に向かって説明する羽目になるかもしれない、そう考えただけでフィーゴは心の底からうんざりした。 
「カンプ・ノウの芝生の刈り方が気に入らなかったんだ。」
どうしても何かしらの説明を加えないわけにいかぬ折りにはそう言った。 
実際にカンプ・ノウの芝生を眺めに行った女の子までいた。それほど悪くはなかったわ、と彼女は言った。 
少しばかり紙屑が散らかってはいたけど・・・・。好みの問題さ、とフィーゴは答えた。 
「お互い好きになれなかったんだ。俺のほうもバルサのほうもね。」 
幾らか気分の良い時にはそうも言った。そしてそれだけの事を言ってしまうと後は黙り込んだ。 
もう七年も前のことになる。 
時の流れとともに全ては通り過ぎていった。それは殆ど信じ難いほどの速さだった。 
そして一時期は彼の中に激しく息づいていた幾つかの感情も急激に色あせ、意味のない古い夢のようなものへとその形を変えていった。 

 

「序文」

177 : これはフットボールについての小説である。[sage] : 投稿日:2006/08/20 21:41:26 ID:v9cfgs600 [2/2回(PC)]
 海外サッカー研究書「フットボール・ムンディアル」の序文はこのように語っている。 
「あなたが海外サッカーから得るものは殆ど何もない。固有名詞の羅列に置き換えられた プライドだけだ。失うものは実にいっぱいある。CS放送やCATVの長期にわたる受信料支払いと(もっともあなたが地上波だけで海外サッカーを語る人物でなければのことだが)、取り返すことのできぬ貴重な時間だ。 

 あなたが海外サッカー中継のTVの前で孤独な消耗を続けているあいだに、あるものは プルーストを読み続けているかもしれない。またあるものはドライヴ・イン・シアターでガールフレンドと『勇気ある追跡』を眺めながらヘビー・ペッティングに励んでいるかもしれない。そして彼らは時代を洞察する作家となり、あるいは幸せな夫婦となるかもしれない。 

 しかし海外サッカー中継観戦はあなたを何処にも連れて行きはしない。画面の審判が試合終了のホイッスルを鳴らすだけだ。ホイッスル、ホイッスル、ホイッスル・・・。無数の試合が止むことなく流れ、無限に続く中継はある種の永劫性を目指している 
 ようにさえ思える。 

 ・・・良きゲームが観れることを祈る(ハヴ・ア・ナイス・ゲーム)。」 



「ハイボール」

 192 : 元ネタなし[sage] : 投稿日:2006/08/27 22:38:42 ID:GABeffPU0 [1/1回(PC)]
クロード・マケレレは終始明るく振舞ってはいたが、時折訪れる「間」は彼の寂寥を雄弁に物語っていた。 

「結局誰も理解してはくれなかったんだ、誰もね。」 

ハイボールを一口飲む。そして続ける。 
 
「でもいいんだ、サッカーはなにもサンチャゴ・ベルナベウでしかできないわけじゃない。スタンフォード・ブリッヂで行なわれるものもまた、サッカーだ。ブロードウェイ以外でもミュージカルは上演されているし、フランス語のオペラもある。同じことさ。」 
 
ハイボールはだいぶ氷が溶けて水っぽくなってはいたが、それでも彼はグラスを傾ける。 
手のひらがグラスの表面についた水滴で濡れる。 
そして、遠くを見ながら話の続きをする。 
 
「今の生活には満足しているよ。強いチームだし、なにより理解がある。これが大事だ。」 
ハイボールを飲む。グラスの3分の1ほど残っていたのをぐいと飲み干す。 

「ビッグイヤーには久しくお目にかかっていないけれど、理解ある仲間はビッグイヤーよりも得難い。そうだろ?」 
ぼくはあいまいに頷く。彼も頷く。 
いくつかのハイボール、そしていくつかの昔話を経てぼくらは別れた。 

「ビッグイヤー」と発音するとき彼はいつも前置きとしてのハイボールを飲んだ。 
あるいは跳躍の前の助走のように。 

クロード・マケレレのなかに「ビッグイヤー」という裂け目があり、それを跳び越えるためにハイボールを飲んだ。 



「才能の在り処」

93 :  [sage] : 投稿日:2003/02/22 04:24:00 ID:K52XOPHz [2/2回]
「ねえペレスさん、どうしてエル・ブランコは毎シーズン安定した力を見せるのかしら」 
「それなりの努力を払っているからだよ」とフロレンティーノ・ペレスは言った。 
「努力なしにものごとが達成されることはない」 
「たとえばどんな努力?」 
「たとえば彼だよ」とペレスは言って、真剣な顔つきでストレッチをしている髭の濃いサイドプレーヤーを示した。 

「僕は彼にとても高い移籍金を支払った。みんながちょっとびっくりするくらいの額だよ。そのことは他のチームメートも知っているけれどね。どうして彼にそんな高い移籍金を払ったかというと、彼にはいいクロスをあげる才能があるからだよ。世間の人にはよくわかっていないみたいだけれど、才能なしにはいいクロスをあげることはできないんだ。 

もちろん誰でも努力すれば、けっこういいところまではいく。10本に1本はゴールを予感させるクロスをあげることができるようになる。たいていのチームにいるサイドプレーヤーはその程度のものだ。それでももちろん通用する。でもその先にいくには特別な才能が必要なんだ。芸術と同じなんだよ。そこには一本の線があって、それを越えることのできる人間と、越えることのできない人間とがいる。だから一度才能のある人間を 
みつけたら、大事にして離さないようにする。高い給料を払う」 

そのプレーヤーはバルセロニスタからひどく嫌われていて、おかげでカンプ・ノウの空からは紙くずや50ペセタ硬貨やウイスキーの壜が降ってくることがあった。でも彼らはかつてその街にいた彼をそれだけ愛していたのだろうし、ペレスはとくに気にもしなかった。 
フロレンティーノ・ペレスはそのサイドプレーヤー、ルイス・フィーゴを気に入っていたし、彼もペレスを信頼して、よく働いてくれた。 


「トルコ」


127 : [sage] : 投稿日:2003/02/26 01:42:00 ID:Q2Wz/lTV [1/1回]
「ハカン」と僕は言った。 
「ハカン・シュクル」と言って、モラッティは肯ずいた。
「そういえば昔使ってた。私が昔に買った選手だよ。 
もちろん経費なんかじゃなくて、自分の金で買った。
ポケットマネーで買ったんだ。私はすごく彼が気に入ってた。 
それでシーズンが始まって、2試合目でスタメンに入れたんだよ。すぐに注意された。 
お前、スクデットとりたきゃハカンなんて獲るなって。
それで買いかえた。そういう世界なんだ。でもいいFWだった。実戦的。高くて強い。私は好きだよ」 
「僕も好きだ」と僕は言った。 



「仕事」

 166 : [sage] : 投稿日:2003/03/01 16:21:00 ID:lcPaHuLF [1/1回]
「二人でボトルを一本取るのはもったいないんじゃない、半分も飲めないのに」

とカッサーノはあるときカペッロに言ってみた。 
 
「いいんだよ、それは」とカペッロは笑って言った。

「ワインというのはね、たくさん残せば残すほど、多くのお店の人たちが味見をできるんだ。ソムリエ、ヘッドウェイターから、いちばん下の水を注ぐだけの人までね。そうやってみんなでワインの味を覚えていくわけ。だから上等なワインを注文して残していくのは、無駄じゃないんだ」 
カペッロは1986年もののメドックの色を確かめ、それから文体を吟味するみたいに、いろんな角度から丁寧に味わった。
 
「どんなことでもそうだけれど、結局いちばん役に立つのは、自分の体を動かし、自分のお金を払って覚えたことだよ。トッティから得たできあいの知識じゃなくて」 



「問い」

 257 : [sage] : 投稿日:2003/04/27 14:44:00 ID:S3oojQoV [1/1回]
あるいはヴァレンシアは負けるかもしれない。
勝利は失われてしまうかもしれない。 
セミ・ファイナルにたどり着けないかもしれない。
どれだけ死力を尽くしたところで、 
既にすべては取り返しがつかないまでに損なわれてしまったあとかもしれない。 
ヴァレンシアはただ廃墟の灰を虚しくすくっているだけで、
それに気がついていない のはプレーヤーだけかも知れない。
ヴァレンシアの勝ち抜けに掛ける人間は誰もいないかもしれない。 
「かまわない」
とバラハは小さな、きっぱりとした声でそこにいる誰かに向かって言った。 
「これだけは言える。
少なくともわれわれにはプレーすべきゲームがあり、 追い求めるべき勝利がある」 
それからバラハは息を殺し、スペースを埋めていく。
そしてこぼれ球を拾っては前線に繋ごうとする。
敵と味方と人々の歓声の向こうにバラハは危険地帯を見つける。 
そこでは誰かが誰かを陥れようとしている。誰かが誰かを引き摺り下ろしている。 
パスにならないパスで。トラップにならないトラップで。 


「手紙」


352 :  [] : 投稿日:2003/07/14 09:42:00 ID:PvofB6MH [1/1回]
ソシエダが揺り動かしたのは低迷する数多あるチーム達の中に長いあいだ眠っていた
<優勝への渇望の一部>であったのだ。 
そしてそれに気づいたとき、僕は殆ど泣きだしてしまいそうな哀しみを覚えた。 
ソシエダは本当に本当に特別なチームだったのだ。
誰かがなんとしてでもソシエダを優勝させるべきだったのだ。 

でもドゥヌエさんもカルピンもソシエダを救うことはできなかった。 
ソシエダは――多くの僕の知る台風の目と呼ばれたチームがそうなったように――
ある段階が来ると、 ふと思いついたみたいに自らの優勝の目を絶った。 
ソシエダは37節に優勝が現実味を帯びた瞬間に2位転落を起こし、
その1週間後にその順位のままレースを終えた。 

ソシエダの敗北を僕に知らせてくれたのはもちろんドゥヌエさんだった。 
彼はガリシアから僕に手紙を書いてきた。 
「ラ・レアルの敗北によって何かが消えてしまったし、それはたまらなく哀しく辛いことだ。 
この僕にとってさえも」僕はその手紙を破り捨て、もう二度と彼には手紙を書かなかった。 


 わかる人はわかりますよね。というこのタイトル。
Shaun Maloney logo①
 こんな画像を作れるジェネレーターを見つけたので、せっかくなんで作ってみました!さて、試合に入っていくとしましょうか!

 QPRも、我々と同じく所謂地獄と天国の間を生きるものです。ブリーチで行ったら、多分あの変な道路みたいなところに住んでる変な奴と言っても過言ではないでしょう。そんな2チームは、特に負けられないゲームとして挑みました。いや、ていうかもうここからは負けられないゲームが頻繁にあるんだけどね・・・

 スタメンはこちら。

Queens Park Rangers
33 Julio Cesar
03 Traore (Onuoha - 46' )
05 Samba Booked
06 Hill
19 Bosingwa
16 Jenas
23 Hoilett (Taarabt - 56' )
29 Townsend
40 M'bia
18 Remy Booked (Mackie - 88' )
25 Zamora Dismissed

Substitutes
01 Green
15 Onuoha
21 Ben-Haim
07 Park Ji-sung
10 Taarabt
14 Granero
12 Mackie

Wigan Athletic
01 Blazquez
03 Alcaraz Booked
17 Boyce
31 Figueroa Booked (Espinoza - 88' )
04 McCarthy Booked
10 Maloney
14 Gomez
22 Beausejour (McArthur - 61' )
33 Scharner
02 Kone
15 McManaman (Di Santo - 67' )

Substitutes
26 Al Habsi
05 Caldwell
23 Stam
16 McArthur
18 Espinoza
09 Di Santo
11 Henriquez
Ref: Dowd
 
 しかし、とりあえずQPRのが状況は悪く「もう1試合でも負けたらかなり詰む」状態ではあります。そういう意味では数少ない自分たちよりキツイ相手ではありました。そんな感じの焦りに包まれたQPRさんはFWザモラがイケメンの顔面を蹴ってしまい一発退場。Wiganにしたら時間も残っているし、凄くチャンスになるかと思われました。

 そうそう甘くはない辺りが血で血を洗うシックスポインター。高い能力を誇る選手たちがきっちりと作り上げた城壁は10人になったことでより堅くなってしまい、Wiganは割と何をどうしたらいいのかわかんない状況になってしまいます。

 いい攻撃を仕掛けても、中盤からミドルを撃っても守備がなかなか崩れないQPR。ジュリオ神のセービングも強烈でミドルはなかなか入る場面を作れません。相変わらず守備は安定していて、アルカラスさんとシャルナーさんでカウンターを食い止めながら試合を運んでいきますがなかなか決定的なチャンスが生まれません。
 
 若手GKロブレスさんの落ち着いた対応もあり、守備が上手くいったからかWiganはどうにか攻城戦を挑もうと選手がどんどん前に出てきてしまいます。ターラブトという怖い選手も入って嫌な予感がしていたら、FKのフィゲロア砲を跳ね返されるとそこからカウンターを受けてレミーに決められてしまいます。

 もう終戦か。そう諦めかけた時。みんながこう言うでしょう。それでもマロニーちゃんなら、それでもマロニーちゃんならなんとかしてくれる。ロスタイムは4分。最後に得たFK。まさか、まさか入るなんて予想した人はほとんどいなかったはずです。

 それでもマロニーちゃんはぶち込んで見せたのです。美しい軌道は名手ジュリオ・セーザルをあざ笑うように…ゴールネットを揺らしました。痺れる場面で決めてこそエース、というその価値を証明するようなキックに僕はもう言葉も出ませんでした。なんという救世主。


 本当にマロニーちゃんのおかげで勝ち点を拾うことが出来ました。この勝ち点1が後で効いてくると期待しながら、どうにか降格圏を抜けられるように闘っていかなくてなりません。

 

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